2022年1月5日~7日の3日間、スクラムを実践する人が集い垣根を超えて語り合う場となる「Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2022」(以下、RSGT2022)が開催されました。本イベントは、一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会が母体となり運営しています。
11回目の開催となる今年は、東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターならびにオンラインでのハイブリッド形式で実施。ITプレナーズは2019年より毎年スポンサーとして参加しています。今回のRSGT2022でも、各社との交流を深めつつ、トークセッションにも登壇しました。当日の様子やセッションの詳細をレポートでお届けします。
アジャイル開発に携わる人同士の交流は日頃も盛んに行われていますが、RSGTは特にコミュニケーションが活発なイベントです。RSGT2022は昨年比で1.5〜2倍の人がオフライン来場。カンファレンスを聞くだけでなく、ブース前で話し込む参加者の方も多く、RSGTならではの熱量の高さを感じました。
ITプレナーズは2日目に「ほっともっと・やよい軒の会社で始まるアジャイルジャーニー」と題して、スピーカーに株式会社プレナス DX本部 システム運用部 部長の漆さんと、研修を担当したITプレナーズ認定講師の稲野講師・高江洲講師を迎え、セッションを開催しました。今回の取り組みの推進役である漆さんからは、同社のコーポレートトランスフォーメーション導入について人材育成という切り口から語っていただきました。
国内外で3,000店舗を超える飲食店を運営する株式会社プレナス。研修実施の背景には、「受発注・請負構造型ビジネスモデルからの脱却」「運用/開発チーム間の連携強化」「ウォーターフォール型からの進化」という、3つの組織課題がありました。
そこで、ITプレナーズが提供する「フェニックスプロジェクト DevOpsシミュレーション研修」を実施し、さらに「EXIN Agile Scrumファンデーション」でアジャイル/スクラムの基礎を学ぶことに。単なる知識のインプットだけではなく、社員それぞれの意見を発信するアウトプット型の研修形式によって、社員の方々の熱量を保ちながら各トレーニングを進めていきました。
2つの研修を実施した結果、各チームが少しづつ要件定義のつくり込みにとらわれずにスプリントゴールを設定するなど習慣が芽生えてきたようです。「アジャイルの考え方・動き方の基礎を知り、共通言語を獲得したことで、部署間のコミュニケーションもスムーズになった」と、漆さんは語ります。
プレナスの今後の展望としては、開発現場だけでなくビジネスにおけるプロジェクト案件でもスクラムを回していきたいとのことでした。ゆくゆくは、全社として働き方の変革にもつなげる狙いです。次のフェーズでは、各プロジェクトのスクラムマスターの育成やDX実現に向けて既存の業務プロセスを棚卸し、再構築するスキル習得を目指します。ITプレナーズは、今後もプレナスの組織変容に伴走させていただく予定です。
RSGT2022では、各カンファレンスも非常に盛況でした。イベント内のクロージングキーノートとして開催された牛尾剛氏によるセッションには、オンラインも合わせて300名が参加。以下、セッションの概要を簡単にご紹介します。
本セッションでは、2018年12月よりシアトルに移住し、米マイクロソフト社にてシニアソフトウェアエンジニアを務める牛尾氏から、アメリカの開発現場における取り組みの様子が語られました。
ウォーターフォールの使用率が0%だという現地の開発現場。また、プロダクトオーナーからバックログは来るものの「明確な納期が存在しない」とのお話に、参加者の方々から「どういうことですか?」と質問が続々と寄せられました。他にも、米マイクロソフト社でのチーム組織のあり方、マネジメントや評価の手法など、日本との文化の違いを感じる特色について紹介いただきました。
RSGTは、有志の方によるさまざまな懇親会に参加するのも楽しみの一つです。初日の夜に開催された「Women in Agile Japan」の懇親会には、ITプレナーズからも2名が参加。女性参加者たちによるそれぞれの現場での悩みやキャリアについてなど、闊達な意見交換が行われました。
アジャイルコミュニティでの女性の活動を支援する、という理念で活動している「Women in Agile」のグループは世界に60以上あり、日本での活動は始まったばかりだそうです。今後「Women in Agile Japan」では、“女性のアジャイルリーダー100名創出”という大きな目標を掲げて、女性支援のための相談会や勉強会を行っていくとのこと。これからの活躍に要注目です!
新型コロナウイルス感染拡大によりいまだに不安定な情勢が続く中、オンライン・オフライン双方のスムーズな運営を実現した実行委員会の皆様に心より感謝申し上げます。来年のRSGT2023も、たくさんの方と交流できることが今から楽しみです。
ITプレナーズでは、アジャイルに向き合う方々に伴走できるよう、今後も積極的な情報発信とさまざまなイベントへの主催・協賛を行ってまいります! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
▼当日のセッションはこちらからご覧いただけます(Scrum Tokyo YouTubeチャンネルより)