顧客に価値を早く提供する、アジャイルの開発手法のひとつである「スクラム」が注目されています。
短い期間で機能をリリースし、フィードバックを基に改善を重ねるスクラムの手法は、現在、大規模システム開発からスタートアップまで、幅広いプロジェクトで採用されるようになりました。また近年では、最先端の技術領域や、開発現場以外の部門でも活用が広がっています。
スクラム関連の認定資格や研修は多くありますが、今回はその中でもスクラムの体系的な知識を実践的に学べるScrum.org™のトレーニングと認定資格を紹介します。
Scrum.org™は、スクラムの共同創案者であり、スクラムのバイブル的存在「スクラムガイド」著者のケン・シュエイバー氏が2009年に設立した団体です。「正しいスクラムの普及」を目的に、スクラムマスター・プロダクトオーナー・開発者向けのトレーニングや認定資格を提供しています。
現在、世界48カ国で展開し、認定資格保持者数は104万人を超えます。(2024年12月現在。Scrum.org™公式サイトより)
スクラムを実践する上では、スクラムのフレームワークや方法論だけでなく、マインドセットや組織・チームへの適切なふるまい方を習得することも不可欠です。Scrum.org™では、こうした考えを「プロフェッショナル・スクラム」として掲げています。
単にスクラムを実践して物事を早く完了させることではなく、「顧客に対して価値を創出すること」「チームが複雑な問題の解決を目指せること」に重点を置き、人々の学びを支援しています。
Scrum.org™の認定資格には、大きく5つの特長があります。
Scrum.org™の認定資格は有効期限がなく、更新料や維持費は一切不要です。多くの資格制度で必要とされる、取得後の定期的な費用負担がありません。
多くの認定資格では研修の受講が必須となっていますが、Scrum.org™では、研修と試験の提供が必ずしもセットになっていません。そのため、すでにスクラムに精通している方や実務経験が豊富な方は、試験のみで資格取得を目指すことも可能です。
一方で、Scrum.org™の研修は、スクラムの知識を「試験対策」として学ぶのではなく、現場での実践に直結するスキルやマインドセットの習得を重視しています。演習やディスカッションを通じて現場で役立つアプローチを学ぶため、研修の受講も大変おすすめです。なお、研修には認定試験も含まれています(追加料金なしで2回目の受験も可能)。
Scrum.org™のウェブサイトおよびコミュニティでは、継続的な学習のために、スクラム実践に役立つ情報や知識が多数共有されています。
英語の記事が中心ではありますが、「スクラムを組織に導入しようとしているあなたが知るべきいくつかのこと」「なぜアジャイルは日本で広がらないのか?現状に関する考察と将来の展望」といった日本語の記事もあり、音声配信で気軽に聞ける日本語コンテンツも公開中です。
また、Scrum.org™で公開されているホワイトペーパーやガイド、研修講師であるPST(プロフェッショナル・スクラム・トレーナー)が執筆した記事の一部は、サーバントワークス社のウェブサイトで翻訳版が提供されています。
Scrum.org™の教材は世界共通で標準化され、講師は厳格な認定プロセスを経た実務経験豊富なプロフェッショナルが担当します。これにより、講師によるトレーニング内容や学習体験の品質が保たれています。
さらに、認定試験はプロフェッショナル・スクラムへの深い理解が問われる、解きごたえのある内容となっています。合格基準も85%以上と高く設定されており、資格取得はスクラムについての確かな知識と実践力の証となります。
研修では、演習中心の講義を通じて、スクラムの実践に必要なマインドセットや具体的なアプローチ方法など、実務で即活用できるスキルが得られます。
受講者からは「経験豊富な講師陣から、実践的なノウハウや具体的な事例を学べた」「受講者同士の対話を通じて、多様な視点や気づきを得られた」といった声を多くいただいています。
Scrum.org™は、入門レベルのもの、特定の役割に特化したもの、あるいはより高度なトピックなど、様々な学習ニーズに合わせて幅広いコースを提供中です。
今回の記事では、その中でも研修が日本語化しているコースを紹介します。
スクラムマスターとしてのキャリアを深めたい方には、まずは基礎を学ぶPSMコース、そして経験を積んだ後により高度なスキルを習得するPSM-Aコースがおすすめです。
ディスカッションと演習を通じて、スクラムの基本原則とマインドセットを深く理解し、成功するスクラムチームが実践しているプラクティスを学ぶ2日間のコースです。オンラインLive形式で、日本語話者講師によるインタラクティブな学習を実現します。
本研修には「Professional Scrum Master™ I(PSM I)」認定試験が含まれ、不合格の場合は追加料金なしで2回目の受験が可能です。現在、試験は英語ですが、自動翻訳ツールの使用が可能となっており、近日中に日本語化予定です。
【こんな方におすすめ】
【受講者の声】
「知っていたつもりだったスクラムの価値やマインドセットをより深く理解できた」
「講師のアドバイスや問いかけが参考になった」
スクラムマスター経験者を対象とした2日間の上級コースです。チームが直面する課題に対しての適応力を高めるためのワークを行い、より実践的なチーム運営手法の習得を目指します。オンラインLive形式で、日本語話者講師によるインタラクティブな学習を実現します。
本研修には「Professional Scrum Master™ II(PSM II)」認定試験が含まれ、不合格の場合は追加料金なしで2回目の受験が可能です。試験の受験にあたっては、自動翻訳ツールの使用が可能となっております。
【こんな方におすすめ】
【受講者の声】
「スクラムのプロとしてのふるまいを学べる」
「習熟度の高い参加者の方から多くの気づきを得られた」
Scrum.org™は、プロダクトオーナーについて学ぶ研修も提供しています。プロフェッショナルなプロダクトオーナーの役割は、要件を書いたり、プロダクトバックログを管理したりするだけではありません。プロダクトオーナーは、プロダクトから価値を生み出すプロダクトマネジメントのすべての側面を具体的に理解している必要があります。
そこでおすすめなのが、ビジネス価値創出に焦点を当てた実践的な内容を学べるPSPOのコースです。
プロダクトやシステムの価値を最大化する方法を学ぶ2日間の研修コースです。講義とグループでの演習を通して、プロダクトオーナーとしての知識を身につけ、定着させていきます。オンラインLive形式で、日本語話者講師によるインタラクティブな学習を実現します。
本研修には「Professional Scrum Product Owner™ I(PSPO I)」認定試験が含まれ、不合格の場合は追加料金なしで2回目の受験が可能です。試験の受験にあたっては、自動翻訳ツールの使用が可能となっております。
【こんな方におすすめ】
【受講者の声】
「現場にすぐに活かせる実践的な内容だった」
「不確実性の高い環境下での物事の進め方、仲間の巻き込み方を学べた」
Scrum.org™は、無料のオープンアセスメントを提供しています。このアセスメントでは、スクラムのフレームワークやプロダクトオーナーの役割など、8つのカテゴリーにおける基礎知識を確認できます。認定試験の準備に役立つツールの一つとしても活用できますので、ご自身のスクラムの理解度を確認する機会としてぜひご活用ください!
今後、技術発展に伴い、スクラムの重要性はますます高まっていくことが予想されます。Scrum.org™の認定資格とトレーニングは、そうした変化に対応するための確かな一歩となるでしょう。
まずは、今後試験の日本語化が予定されている、Professional Scrum Master™からの受講がおすすめです。ぜひ、更新費用不要でグローバルに通用する認定資格の取得を目指してみませんか?
研修に関するご質問や、受講に向けてのご相談などございましたら、お気軽にお問合せください。
The class will be delivered by Optilearn, a member of Scrum.org’s Partner Training Network.