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自己組織化された組織の強さを実感したスクラムフェス三河参加レポート

2024.10.17

9月13日~9月14日にオンサイト・オンラインで同時開催された「スクラムフェス三河2024」に、ITプレナーズはsilverスポンサーとして参加しました。

また、三河在住のITプレナーズ社員が実行委員として参加したため、実行委員視点での学びや気付きもお伝えいたします!

スクラムフェス三河は、製造業におけるプラクティスの聖地である三河での開催であるため、製造業でのアジャイル実践に関するプロポーザルが多く集まりました。また、栃木サテライトと連携したり、初登壇の方を応援するなど、コミュニティの盛り上がり・広がりにも力を入れています。

 

Day1

オープニングの前に、「ヒューマン系やコミュニケーションのワークショップに参加するときこころがけること」というセッションがありました。

今年のスクラムフェス三河では、初めてワークショップトラックが展開されました。そこで、ワークショップを最大限に活用するための心構えや振る舞いについて学び、より有益な経験にするためのヒントを得られるこのセッションがDay1に実施されました。

さて、オープニング前のセッションで場が温まったところで、平鍋 健児氏によるキーノート「製造業でのアジャイル、悩みと光」がスタートしました。

自動車産業という大きな産業、そして自動車という大きなプロダクトにおいてアジャイルを導入する難しさについて話されました。

プロダクトオーナーを起点とし、ユーザとの対話や社内外の説得・調整などを「上ロジ」、スクラムチームのメンバーの巻き込みやスクラムの実践などを「下ロジ」と呼び、自動車産業における上ロジの難しさが強調されました。

さらに、自動車開発においてアジャイルが適正な部分は「フェーズ」や「ドメイン」で切り分けた時に、どこなのかについても詳しく掘り下げられました。

キーノートの中で「アジャイルを始めたい」という意図を持った人をChampionと呼び、最後は「上ロジと下ロジをつなぐChampionにならないか?」という力強いメッセージで締めくくられました。

製造業でのアジャイルの難しさが語られつつも、アジャイルをやらされるのではなく自分たちでやり方を考え、変えていくことが大事なんだということを伝えていただきました。

キーノートを終え、その場でネットワーキングパーティーとなりました。
豊橋のクラフトビールも振る舞われ、多くの方との交流を楽しむことができました!

Day2

Day2は、三河の会場では4つのセッショントラックととにかく前向きラジオの公開収録が行われ、同時開催している栃木サテライトでも1つ独自のトラックでセッションが行われました。その中で印象的だったセッションをご紹介します!

「キラキラしてない製造業で会社を変えるために地味に泥臭く改善していきたい」

株式会社アイシンのCCoE室長である福元さんによる、熱意あふれるセッションも印象的でした。
長い歴史を持つザ・製造業であるアイシンのカルチャを変える必要があると孤軍奮闘している福元さん。

これまでの歴史の中で、「(自動車部品は自分たちでつくるものだから)外部に情報を取りに行かない」「外部に発表したり情報を発信しない」カルチャが根付いており、社内コミュニティには1,500人が参加しているにもかかわらず、投稿は運営メンバーのみという状況だそうです。
そうした中、危機感を感じた福元さんは一人でアジャイルを学び、積極的に外部のイベントに参加しています。いつか部下がこうした場で発表することを目標としているとのことです。

お昼には地元の食材を使ったお弁当が振る舞われました。
その中にはなんと愛知県産鰻が乗ったうなぎまぶしが!風味付けにも鰻ナンプラーを使用しており、鰻のおいしさを堪能できるお弁当でした!

最後のセッションが終わる頃、予想外のハプニングが発生しました。突如、館内放送で火災発生のアナウンスが流れたのです。ですが、みなさんパニックにならず自然と荷物をまとめて避難する体制になり、会場であるemCAMPUS STUDIOのスタッフさんの指示に従い速やかに非常階段から外へ避難することができました。

チームが目的達成のために最善の策を自分たちで考え行動する「自己組織化」は、スクラムを語るときに非常に重要となるキーワードですが、この時のとっさの判断と行動は、まさに自己組織化が表れているよね!と、会場内でも話題になりました。

結果として、誤報であることがわかり、会場へと戻りました。
予定はやや押してしまいましたが、クロージングの準備が整うまで森 一樹さんがリアルふりかえりで場をつないでくださり、無事クロージングを迎えることができました。

 

スクラムフェスは、アジャイル開発の技術や実践事例を学ぶ場であると思われがちですが、スクラムフェス三河のイベント説明にはあえて「スクラムはプロダクト開発における技術やプロセスだけでなく、そこで働く人やチーム、組織にも価値をおきます。」と明記されています。
私自身も、スクラムフェスに実行委員として参加する中で、皆さんとの関わりや聴講したセッションから、技術やプロセスではない部分をたくさん学ぶことができています。
さらに、その場にいるみなさんの素晴らしいふるまいを間近で見ることでも、スクラムというものが「組織が価値を生み出す」ためのフレームワークであることをより実感することができた2日間でした。

また、スクラムフェス三河のもう一つの重要なテーマである「製造業アジャイル」について、議論を深めることもできたかと思います。今現実に製造業に携わる方々は、このスクラムフェス三河で製造業でのアジャイルに向けて光や希望を持ち帰ることができたのではないでしょうか。

そんな多くの学びや、希望を得る場に立ち会えたことに感謝します!
そして、ITプレナーズは今後も、コミュニティおよび地域社会の活性化に貢献できるよう、実行委員として、スポンサーとして、そして参加者として各種イベントを盛り上げていきたいと思います!