お客様の企業変革、DXの戦略から実行までを支援する総合プロフェッショナルファームとして、富士通グループから2020年1月に設立されたRidgelinez株式会社(以下、リッジラインズ)。「未来を変える、変革を創る」を使命に掲げ、自社のIT部門にもアジャイル開発組織を構成しつつ、その実践知をもとに、お客様のDXや新規事業開発を支援するアジャイルサービスを展開しています。
2023年12月、ITプレナーズが提供するScrum.org™のスクラムマスター研修「Professional Scrum Master™」に、同社より2名が参加しました。アジャイルサービスにおける責任者を務める尾形様と、実際に研修と認定試験に取り組んだ泉野様、森口様に、研修での学びと受講後の変容について伺いました。
リッジラインズは、お客様のDX実現を支援する総合プロフェッショナルファームです。グローバルベストプラクティスのアジャイルフレームワークを、日本企業様向けにモディファイした大規模スケーリング、アジャイルフレームワークを持っている強みを活かし、経営戦略の策定やソリューションの提案から、システム開発までをEnd to Endでご支援しています。
これまで、ニコン様や日産自動車様など、国内の大手製造業をはじめとするさまざまなお客様へのアジャイル支援を行ってまいりました。
私は、アジャイル領域のコンサルティングサービスにおける責任者を務めています。
私は開発者として、社内IT基盤の構築を担いつつ、お客様へのアジャイル支援現場では新規事業立ち上げに伴うプロダクト開発におけるプロダクトオーナーに対する支援を行っています。また、私自身がスクラムマスターの役割を担当することもあります。
私は、お客様のIT資産管理やデータドリブンマネジメントの領域をメインに支援しています。その中で、クラウド導入の際にアジャイルのアプローチを活用しています。
これまでアジャイルについては一通り学んできたつもりですが、お客様を支援する上でさらに役立つ実践的なノウハウを得たいと思っていました。書籍の内容や一般的に言われているセオリーは、現場にそのまま当てはめられるとは限りません。そのギャップを、今回の研修でどれだけ埋められるかという点に期待していました。
オープンコース形式だったので、他社の受講者の方々とのアジャイル・スクラムに関する意見交換や情報共有ができればと思っていました。また、すでに取得している他のアジャイル・スクラム関連の認定資格と「Professional Scrum Master™ I」はどのような違いがあるのかにも興味を持っていました。
全体を通じて、すでにスクラムを実践している方にとっても非常にレベルの高い研修だと感じました。印象的だったのは、スクラムの「手法」にとどまらない「考え方」そのものにフォーカスされている点です。
研修中にはスクラムガイドを参照する場面が多く、原則に立ち返りながらスクラムに対する理解を深められました。
一方で、概念的な内容だけでなく、スクラムの実践経験が豊富な講師の方から貴重な体験談やナレッジを伺えたのも良かったです。和やかで質問しやすい空気を作ってくださり、場の心理的安全性が保たれていると感じました。今までさまざまな研修を受講してきましたが、今回の「Professional Scrum Master™」はとくに納得感と実践へのイメージが得られる研修でしたね。
受講前に期待していた通り、他社の受講者の方々と業務の中で生まれた課題や疑問について活発に議論できる、貴重な機会となりました。
また、スクラムマスターが状況に応じてどのようなリーダーシップを発揮していくべきなのかについて学べました。アジャイルについて「わかったつもり」でいても、実は理解不足だったと気づけたことも大きな収穫です。講師の方からは、スクラムチームを運営する上で効果的なツールやフレームワークも紹介いただき、とても勉強になりました。
「スクラムマスターが会議をファシリテートすることは必須ではない」という言葉は、私にとって衝撃的でした。それまで、スクラムマスターがファシリテーターを務めるのが当たり前だと思っていたからです。
むしろ「自律的なチームを目指す上では開発者など他の人に任せることでチームメンバーのコミットメントが高まる」と聞き、なるほどなと。一律な対応ではなく、チームの状況や目指す姿に応じて柔軟な働きかけが求められるのだと実感しました。
研修中に取り組んだケーススタディやディスカッションの場で、スクラムガイドを見直す場面が想像以上に多かったのが印象的でした。スクラムの実践において、スクラムガイドに忠実であることの重要性を改めて認識しました。
他のスクラム関連の認定資格に比べて、試験の難易度が高いと感じました。「適当な選択肢が複数ある中で、最も適した回答を選ぶ」といった質問形式も用意されていて、普段からスクラムを実践している立場でも判断に迷う場面が多かったです。
Scrum.org™のウェブサイト内で提供されている「Scrum Open」というアセスメント(模擬試験)を何度も解いてスクラムの考えを再認識することで、なんとか一発合格できました。
「Professional Scrum Master™ I」の試験時間は60分で設問数が80問あり、合格するには85%以上の正答率が必要です。わりとシビアな基準なので、私もしっかりと復習して試験に臨みました。
あいまいな認識のままでは通用せず、スクラムガイドを読み込んでいないと回答が難しい点が試験の大きな特徴ですね。言い換えると、合格するとスクラムマスターとして自信につながる認定資格だと感じました。
二人の研修受講から資格取得までの様子を見守っていましたが、その苦労話を聞いて、この研修と認定資格はアジャイル人材育成プログラムとしても非常に良い内容だと思いました。「Professional Scrum Master™ I」を取得することで、スクラムへの深い理解と実践的なスキルを有したスクラムマスターであるという対外的な証明になるのではないでしょうか。
正解がない状況においても、スクラムの原則に立ち戻って考える姿勢が身につきました。今までは過去の成功体験や経験則のもと「今はどのように対応すべきか」を判断していましたが、答えはお客様やスクラムチームの中にこそあるもの。そのスタンスに立ち返り、都度スクラムガイドを参照して、チームの状況を見ながら最適な方法を模索するようになりました。
社内では有志のアジャイル勉強会を積極的に行っていますが、もちろん今回の「Professional Scrum Master™」で得た学びもメンバーに共有しました。これから、組織内でもさらなるシナジーを生み出していきたいです。
「Professional Scrum Master™」受講後、PCのデスクトップからスクラムガイドをすぐに開けるようにしました。
社内外の利害関係者が多い中で、複雑な状況に対応しようとすると、判断基準や優先順位づけにブレが生じてしまう場面も出てきます。そんなときこそスクラムガイドを参照して、意思決定をしていくことが大切なのだとわかりました。アジャイル実践における原則の重要性に改めて気づけました。
今後、社内でのアジャイル実践やお客さまへの支援を通じて、日本にアジャイルの考え方をさらに広めていきたいと考えています。
「なんとなく」や思い込みでアジャイルを進めてしまうと、期待する成果にうまくつながらないかもしれません。そうした失敗の体験から「アジャイルを取り入れても意味がない」という考えに至ってしまうのは非常にもったいないです。
「Professional Scrum Master™」をはじめ、Scrum.org™のトレーニングや認定資格は、スクラムの理解を深めるために非常に有効だと感じているので、学ぶ人が増えることも期待しています。
私も同じく、支援現場でアジャイルの実践において「原則」が大切だということをこれまで以上に伝えていきたいと思います。また、Scrum.org™が提供しているスクラムマスター向けの上級コース「Professional Scrum Master™ II」や、別ロール向けのコースもぜひ受講したいです。
アジャイルを取り入れる際、表面的な手法やツールの導入にとどまってしまう企業は意外と多いのではないでしょうか。「アジャイルをどのように進めるべきか」という方法論に着目してしまいがちですが、本当に大切なのは「より高い価値を生み出すために、どうすればよいか」を導くための考える力を身につけることです。
アジャイルのマインドセット浸透を含めて、お客様とより良い未来を創造するパートナーとして社会に貢献していきたいと思います。
社名 Ridgelinez株式会社(Ridgelinez Limited)
業種 コンサルティング
創立 2020年1月15日
資本金 1億円
ウェブサイト https://www.ridgelinez.com/
Professional Scrum Master™(PSM)は、プロフェッショナル・スクラムとスクラムマスターの役割をしっかりと理解する、演習中心のインタラクティブなコースです。ディスカッションと演習の組み合わせで、スクラムの基本原則とアジャイルのマインドセットを深く理解し、成功するスクラムチームが実践しているプラクティスを学びます。
また、このコースには、世界的に認められているProfessional Scrum Master™ I(PSM I)認定試験も含まれています。
※取材は2024年1月に実施しました。
ライター:Yui Murao