事例紹介

自動化から始まり組織の壁を越えたDevOpsへ、意識の変革をもたらす研修

株式会社カオナビ様
研修事例
2021.12.6
左から プロダクト本部 SRE部Productivityグループ 山内 翼さん、プロダクト本部SRE部 オペレーショングループ マネージャー 石川 善幸さん、プロダクト本部SRE部 オペレーショングループ 棚橋 敬さん

タレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供する、株式会社カオナビ(以降、カオナビ)。

カオナビでオペレーショングループとProductivityグループを率いる石川さんは、社内のDevOpsを推進するために、各グループから1名ずつをITプレナーズが開催する公開講座「DASA DevOpsファンダメンタル」に参加させました。
研修の受講は、カオナビの進めるDevOpsにどのような変化をもたらしたでしょうか。石川さん、そして今回の研修を受講した棚橋さんと山内さんにお話をうかがいました。

DevOps推進のために研修受講で知識の底上げを狙う

―貴社の事業内容をお聞かせください。
石川さん

当社は、社員の個性・才能を発掘して、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供しています。企業の人材情報をクラウド上で一元管理し、社員の顔・名前・経験・評価・スキル・才能といった人材情報を可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった戦略的なタレントマネジメントの実現を支援しています。

―業務内容をお聞かせください。
石川さん

オペレーショングループのマネージャーと、Productivityグループのディレクションを兼務しています。タレントマネジメントシステム「カオナビ」の運用保守業務、主に顧客対応やリリース作業の管理、業務の自動化・効率化・生産性向上などを組織横断して行なっています。

―それぞれのグループの役割をお聞かせください。
石川さん

オペレーショングループはカオナビアプリのリリース管理や顧客対応を担当しています。お客様からの調査依頼、不具合対応、データ復旧などの運用業務に加えて、定常業務の自動化などの改善業務も行っています。

Productivityグループは、開発生産性の向上を目的としています。より良い製品をより早くリリースするために、性能試験用のデータセット作成や、E2Eテスト・ユニットテストの作成を行っています。

―ITプレナーズを知った経緯をお聞かせください。
石川さん

2021年4月に開催されたDevOpsDaysTokyoに、カオナビはスポンサーとして協賛しました。そこで同じくスポンサーをしており、運営にも携わっていたITプレナーズの岡本さんと知り合いました。そこでお話しする中で、ITプレナーズがDevOpsの研修を取り扱っていると知りました。

―どのような課題を解決するために、研修への参加を決めましたか?
石川さん

DevOps推進のためには、会社として運用体制を根本の部分から変えていく必要があります。その第一歩として、まず知識の底上げをしたいと考えていました。
私自身は2年ほど前に研修を受けてDevOpsの知識を持っていましたが、私1人で引っ張っていくのは限界がありました。「自動化」や「無駄なことはやめよう」など、なるべく分かりやすいワードでグループを牽引していたものの、もっとベースとなる知識を持ったメンバーを増やしてDevOpsを推進していきたいと思ったのです。

ITプレナーズの提供する「DASA DevOpsファンダメンタル」の内容を知り、知識獲得だけではなく、チームとしてDevOpsを実践することを最終的なゴールとした研修という印象を受けました。この研修なら学んだことをチームに還元する近道になると感じたのが、参加を決めた理由です。

そこで、まず6月にオペレーショングループから1名をITプレナーズの公開講座に参加させました。DevOpsの実践に有効な内容だったので、続いて8月の公開講座にもProductivityグループから1名参加させました。

様々なバックグラウンドの受講者との交流による刺激

―研修を受講した棚橋さんと山内さん、研修中の様子や感想をお聞かせください。
棚橋さん

今回参加したのは様々な企業の方が参加する公開講座だったので、他の業界からの受講者と交流できたことが新鮮でした。中にはソフトウェアエンジニアリングのバックグラウンドがない方も受講していて、DevOpsの研修はこんなに色々な方が受けるんだ、というのにまず驚きました。
研修は、グループワークで受講者同士が話す場面が多く、他の企業がDevOpsについてどう考え、どういった課題を抱えているのかを知ることができて刺激を受けました。また、同じ悩みを抱えている方もいて、話し合えたのも参考になりました。

山内さん

DevOpsについては以前からバズワードのようになんとなくのイメージは持っていたものの、具体的にどういう概念なのかは理解できていませんでした。そのため、研修を受ける前は「他の受講者はもっと詳しい人ばかりなのかも」と緊張していましたが、実際は、DevOpsについて全く知らない方もいれば、DevOpsの知識があり実務に活かすために参加している方もいて、様々な方が参加していました。

グループワークでも、積極的に発言する方もいればそうでもない方もいて、その中でうまく進めていくのが実務っぽくて実践的だと感じました。実際に社内でDevOpsを推進しようとしたら、周囲は同じタイプの人ばかりではありませんからね。

他には、講師の方が「質問はないですか」と何度も投げかけてくれたのもあって、受講者からの質問も頻繁に出ていました。質問に対して講師の方が明快に答えてくださっていたので、本を読んだだけでは得られない知識が身についたと思います。

研修を受講して生まれた、組織の壁を越えてDevOpsに取り組む意識

―今回参加した研修によって、どのような成果や行動変容が生まれていますか?
棚橋さん

私はオペレーショングループではリーダー的な立場をしているため、メンバーに自動化や工数を減らす話をすることが多いのですが、その際にDevOpsの背景を添えて、なぜそれが必要なのかを話せるようになりました。コミュニケーションをとる上で、強化ポイントになっていると思います。

山内さん

今までの自分は、Productivityグループで改善していくには、グループ内を変えていこうという考え方でした。しかし研修を受けて、小手先だけではなく開発チームを巻き込んで一緒にDevOpsをしていかなきゃいけない、という考えに変わりました。これまで自動化という言葉に引っ張られていましたが、もっと広い視野で見られるようになりました。この意識の変化があるかないかでは、目指すべき方向も変わると思います。

石川さん

もともと2人を送り出した目的である、グループとしての知識の底上げは達成できたと思っています。他にも、共通言語を持ったコミュニケーションや、グループとして向かっていく方向の統一も、手ごたえとして感じています。以前から2人とも積極的に改善に取り組んでくれていましたが、改善提案の頻度が上がったという印象もありますね。

―今後の展望についてお聞かせください。
棚橋さん

引き続き自動化は進めていきますが、DevOpsを実践するために自チームだけではなくサービス開発部とも協力しながら、リリースや運用の仕方を考えていきたいです

山内さん

DevOpsを学んで、グループの文化が閉じているという課題感を新たに持つようになったので、その部分を改善していきたいです。サービス開発部にもDevOpsの文化を根付かせたいですし、そのためには、研修で学んだようにチームビルディングから取り組んでいく必要があります。全体的に考えながら、小さいところからDevOpsの文化を広めていこうと模索しています。

石川さん

今回受講した2人には、新しいアウトプットに期待しています。部としては連携が取れているのですが、他の部との間にはまだ課題があるので、その一歩目を踏み出してほしいですね。特にリモートワークになってからは、組織の壁、いわゆるサイロ化が顕著になっているので、組織間の連携の仕組みを整えていく必要があります。

これからカオナビとしてのDevOpsをどうするべきか、現場としてどうしていきたいのか、それを阻む障壁は何なのかを、2人との共通認識として持ち、他のグループも巻き込んで活動を進めていきたいと思います。
教育についても、今後も興味のありそうなメンバーを巻き込んで、知識の底上げを続けていきたいです。「DASA DevOpsファンダメンタル」の上位コースであり、同様にITプレナーズが提供している「DASA DevOpsコーチ」の研修にも関心を持っています。


お客様情報 - 株式会社カオナビ

■ 本社所在地:東京都港区虎ノ門1-3-1 東京虎ノ門グローバルスクエア 15F・16F
■ 事業開始日:2012年4月16日
■ 資本金:10億6,627万円 (2021年3月末時点)
■ ウェブサイト:https://www.kaonavi.jp/

DASA DevOpsファンダメンタル

この2日間のコースでは、受講者にアジャイル、DevOpsの主要な原則を幅広く紹介します。
DevOps Agile Skills Association(DASA)によって定義されている12の主要な知識とスキルの能力すべてを網羅したコースです。 主要なDevOps概念と用語、ケーススタディやシナリオ、グループディスカッション、およびコースに含まれる事例によって、DevOpsの基本的な知識を習得します。

※取材は2021年9月に実施しました。

ライター:Nanami Hirokawa