沖縄に本社を置き「地域の可能性を解放する」というパーパスのもと、デジタルマーケティング事業と地域特化型求人マッチングサービスを展開するインタラクティブ株式会社。
事業成長に伴い社員数が100名を超え、組織の硬直化や閉塞感といった課題を抱えていた同社がその打開策として選んだのが、ITプレナーズの提供するシミュレーション型研修「フェニックスプロジェクト DevOpsシミュレーション研修(以下、フェニックスプロジェクト)」でした。
本研修を通じて得た学び、受講後の組織変容について、研修の導入をリードされた照屋様、瀬底様、そして研修を受講いただいた玉城様、具志堅様の声とともに紹介します。エンジニアリング部門に限らず、営業やカスタマーサクセスなど様々な職種の社員が参加したことで生まれた相乗効果についても詳しく伺いました。
フェニックスプロジェクト DevOpsシミュレーション研修
弊社には二つの大きな事業があります。一つは、クライアントの課題把握からWeb制作・システム開発までをワンストップで対応し、事業成長に貢献するデジタルマーケティング事業です。もう一つは、地域特化型の求人マッチングサービス「ジョブアンテナ」の運営です。
「地域の可能性を解放する」をパーパスに掲げ、デジタル活用・採用支援を通じて沖縄をはじめとした各地域、そして日本全体を元気にすることを目指しています。
事業拡大に伴い、社員数が100名を超えたあたりから組織の硬直化が進みつつあることに、CTOとして課題感を持っていました。そのため、部署の垣根を超えた自由なコラボレーションを促進したいと考えていたんです。
現場にも同様の問題意識がありました。
私は日頃「ジョブアンテナ」の開発・運用を担当しており、さらなる事業拡大を見据えて、開発プロセスの整理と管理にも着手しています。しかし、過度にルールや計画を重視してしまうと、画期的なアイデアが生まれにくくなり、メンバーに指示待ちのスタンスが芽生えてしまうおそれもあります。
当社は、もともと風通しのよい組織環境とメンバー同士の協働を大切にしながら成長してきた経緯もあり、私たちらしさを失いたくないと考えていました。そこで組織変革のキーワードとなったのが、アジャイルやDevOpsだったのです。
フェニックスプロジェクトを知ったのは、勉強目的で参加したスクラム関連のイベントがきっかけでした。その後、沖縄で開催された体験会に参加する機会があり、その場で出会ったばかりの人同士でもチームとしての一体感醸成と改善の効果を体感することができて、今の自社に必要な研修だと感じたのです。
フェニックスプロジェクトは、シミュレーション形式でアジャイルやDevOpsを学べる点に魅力を感じました。メンバーが自ら体験することで、納得感と実践力がより高まると考えたからです。
社内で希望者を募りつつ、各部署で組織変革のキーパーソンとなってくれそうなメンバーには直接声もかけました。最終的に12名が集まり、多様なバックグラウンドを持つメンバーが参加したことで「部門間でコラボレーションするとはどういうことなのか」をより深く学べたと思います。
最も印象に残ったのは、情報共有の重要性です。フェニックスプロジェクトでは、受講者がCEOやCFO、開発、運用、人事などそれぞれの役割を持ち、各自の立場からチームに貢献できるように働きかけていく必要があります。
シミュレーションを進めるうちに、自分の役割でしか持っていない情報が多くあると気づき「自分からきちんと情報を発信しなければいけないんだ」と思い至りました。普段はどちらかというと控えめなタイプのメンバーが積極的に発信する姿にも、刺激を受けましたね。
研修の序盤は、自分の役割と担当業務を把握するのに精一杯で、どのように連携して進めていけばいいのかがわかりませんでした。「自分が出しゃばってもいいのか」といった迷いもありましたね。
ただ、玉城さんが言う通り、だんだんと「チームが目標を達成するためには、この情報を共有したほうがいい」と考えて行動に移せるようになりました。自分の持つ情報や提案を周りに発信することで物事がスムーズに進んでいく感覚を得られ、積極的に行動していいんだと自信がついたんです。「役割の垣根を超える」って、こういうことなのだと実感しました。
普段の業務では、同僚と連携する際「お互いの業務や状況について理解しているはずだろう」という前提が少なからずあると思います。
ですが、そうした思い込みが連携不足やミスにつながってしまう場面も少なくありません。研修を通じて、日常業務でも相手と認識を揃えて進めていこうと改めて思いました。
はい、ビジネスサイドにも持ち帰れるものが多くありました。フラットでオープンな組織づくりは、どの部門にも必要です。私たちジョブアンテナ事業のカスタマーサクセス部門は拠点も増えつつあり、部内でも情報共有や意思決定の迅速さがますます求められるようになりました。そんなタイミングで、この研修を受講できてよかったです。
お客様との向き合い方の面でも学びがありました。私は日頃、デジタルマーケティングなどの支援でお客様からご要望を聞き、社内のエンジニアと相談しながら最終的な仕様決定やご提案を行っています。
研修の中では、自分たちの置かれた状況を俯瞰的に見て、どの問題から対処していくかをチームで意思決定していく必要があります。実際に支援の過程でも、お客様のご要望を聞くだけでなく「本当にそれでお客様の課題が解決するのか」に立ち返り、一緒に解決策を考える場面もあるため、研修は有意義な疑似体験の場になりました。
確実に良い方向に変わってきていると感じます。以前は、開発部門と事業部門との間で、ちょっとした相談をしたいときに直接やり取りをしづらい雰囲気がありました。
研修受講後、この状況を改善したいと改めて考え、開発要望を受け付けているGitHubというツール上で、まだ固まり切っていないアイデアや相談事もしやすいようにフォーマットを簡素化しました。これにより、以前に比べてより気軽かつ自由に意見交換ができるようになったと思います。
これまでは、部門間をつなぐ窓口担当のようなメンバーがいて、その人を通じて相談を持ちかけるケースも多かったんです。瀬底さんがハードルを低くしてくれたおかげで、私たちも直接エンジニアの人たちとコミュニケーションが取りやすくなり、気軽に意見や要望を出せるようになりました。
業務の進め方において、大きな変化がありました。以前は、お客様からの要望を受けて、制作ディレクターを介して社内のエンジニアやデザイナーに伝える流れが基本でした。
研修受講後は、私からもお客様の要望を詳細に伝えるようにしたところ「もっとこうしたほうがいいのでは」「逆にこの機能は必要ないのでは」と、より具体的なフィードバックをもらえるようになったんです。結果として、お客様へのより本質的なご支援につながっていると感じます。
さらに、研修受講をきっかけに、具志堅さんが所属するジョブアンテナ事業部と私が所属するデジタルマーケティング事業部とでコラボレーションの話が進んでいます。たとえば、ジョブアンテナに求人広告を掲載いただいたお客様に対して、自社採用サイトの改善支援を行うなど、様々な相乗効果が期待できそうです。このような部門間連携を、さらに強化していきたいですね。
部門間のコラボレーションが生まれるきっかけを作れて非常にうれしいです。今回、フェニックスプロジェクトという研修を通じて得られた学びは多くあります。
とくに、受講者が体験を共にすることで「研修の中でこうしたらうまくいったよね」「ああいった働きかけを実務でもやってみよう」と、共通のコンテキストが形成される点が大きいですね。
組織文化の醸成や部門間連携の促進は、長期的かつ継続的なアプローチが肝心だと考えています。今後も、様々な方法で組織全体をより良くしていきたいと思います。
事業部長、マネージャー、ディレクター、営業、コンサルタント、採用担当、エンジニアといった役職や職種が異なる12名でのご受講でしたが、比較的早い段階から全員で集まり話し合いを始めており、混乱した状況に対する適応力の高さを感じました。
最初は全体像が見えず戸惑っていたものの、回を重ねるごとに自由な発想で改善を重ねて業務フローが整っていく様子を見て、とても楽しかったです。また、受講者の方の「うまくいきそうなタイミングで必ずトラブルが発生する。ゲームだから笑って楽しめるけど現実だったら辛い」という言葉が印象的でした。
現実はゲーム以上に複雑で厳しいですが、今回の研修で体験したフィードバックサイクルを実際の業務でも活かしていただければ嬉しいです。
社名 インタラクティブ株式会社
業種 インターネット関連、人材サービスなど
創立 2009年2月5日
資本金 46,080,000円(資本準備金69,754,260円)
従業員数 105人(2023年10月1日時点)
ウェブサイト https://www.inta.co.jp/
ビジネス推進の鍵となる部門間のコラボレーションを、ゲーム形式で楽しく、手を動かしながら実践的に学べる研修です。
短期間で新サービスをリリースしなければならない危機的な状況にある組織が、さらに様々な困難に直面しながらも、チーム間の連携で成功への道を切り開いていく書籍「The Phoenix Project(邦題:The DevOps 逆転だ!究極の継続的デリバリー)」をベースにしています。
研修では、物語の流れに沿ったシミュレーションを通じて、参加者自身がビジネス部門・開発部門・運用部門に分かれて役割を担い、チーム間のコラボレーションや次々と発生する課題への対応を体験できます。
※取材は2024年9月に行いました。
取材・文:Yui Murao